初めての...


「ん……ぁ?」


思わず目を開けると風がものすごく吹いていた
今日は海風が強いんだな


「あ、れ。コック」


視界に入ったのは甲板の隅に立ち
海を臨んで立っているひよこ頭。
気配を消さずに普通に近づいているのに
気づいていないようだ。


「…っ」


海を臨むコックを見て
思わずきれいだと思った。
見るだけでもサラサラな髪が風になびいて
海の蒼とは違った蒼が
目の前の海を映していて


「ナミたちにへらへらしなくていいのかよ」
「うおっ!?」
「あぁ!?」 
「いきなり声かけんなよ!! 驚くじゃねーか」
「いきなりじゃなかったらどうやって声かけんだよ」
「…ちっ、」 
「んだよ」 
「まぁナミさんたちには極上の紅茶を渡してきたから。ロビンちゃんと仲良くお話しているよ」


そういってへラっと笑う

………いつからだろうか
この目の前のぐる眉に興味があったのは
あ、でも。
ただの興味なら最初から持っていたかもしれない


でも。
近くにいたいとか、
普通に話したいとか、
触れてみたいとか
………抱きしめてみたいとか。
そんな風に思ったのはいつからだろうか。

正直、今まで他人になんか全く興味がなかった。
なのに、こんなぐる眉のひよこ頭がすごく気になる
こいつ行動とか言動で嬉しくなったりイラついたり。
なんなんだ、これ


「……どうしたんだよ、いきなり黙って」
「いや、別に」
「そうか」
「あぁ」
「………」
「………」
「おいコック」
「?」
「さっきまで、何考えてたんだ」
「…。別に」
「嘘だ、なんかそういう顔してた」
「そういうって、…なんだよ」


ゾロは、俺の何でもわかるんだろうか
現に今、すごく見つめられてる
なんでも見透かされそうで。
怖いような嬉しいよな。


「言え」


目を合わせる余裕がない

あぁ、俺は。
そうとう重症かもしれない


「俺は」
「あぁ、なんだ」
「ゾロが、すごく好きだ」
「……お、おぅ」
「でも、この先が全く分からない。俺らは海賊で全然それに後悔はないけど・・・」 


そう考えるようにぼそぼそと続ける


「いつ死ぬか分からないし、それに、ゾロだって、心配だし
 …なんとなく、この海見てたら、不安になって」


あぁ、このコックは
ひよこ頭の癖に
勝手にいろいろ考えて
不安になって。
…………馬鹿だ、すごく。


「だから、それだけだ。」
「コック」


そういうと、目が合った
この蒼い瞳が不安げに揺れている
つくづく馬鹿だと思うけど、それさえも愛しいと思う自分がいる
少しだけひざを曲げて
少しだけ前かがみになって。

たった1cmの身長差を0にして。
唇との距離も0にした


「んっ……」


思わず体が動いていた。

触れるだけのそれを終わらせると
コックはこちらを真っ赤な顔で見つめてきた。








(………てめ、いきなり…)

(あー、いや。初めてだったか?)

(初めてに決まってんだろ!!…え、お前)

(俺も初めてに決まってんだろ)

(……そ、そうだよな)





END.









あ、はい。
初めてのちぅですww


こんな感じかなーと思ってなんとなく。
そりゃあ2人にとっても初めてであって欲しい!!


最後までありがとうございましたっ
m(- -)m


20110819 景夜.



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