幸せな痛み
バタン
先ほどまでやっていたクラスの小テストを採点していたらいきなりドアのあく音がした
思わずぎょ、とするがそんなそぶりは一応見せない
「どうした」
ドアの方を見ずに聞く。
ノックも何もしないでずかずかと入ってくる奴はあいにく一人しか思いつかない。
「……別に」
「別にじゃないだろ。授業はどうした」
「さぼってきた」
「…おい、」
当たり前のように言われる事柄に少しあきれる。
つかこいつは俺のことを教師だと思っているのか。
「次の教科はなんだ?」
「体育」
「別に嫌いじゃないだろ。」
こいつが嫌いなのは数学とか理科とか。
頭を使うやつだ。
あ、少しひどいこと言ったか?
「……痛いんだよ」
「は?」
「あんまり動けない」
「はぁ?なまってんのか?」
「てめぇ、殺すぞ」
いつのまにかこいつの指定席と化した窓際の席に座って外を見る。
次のこいつの授業が体育とあってか
少しずつ校庭に人が出てきている。
ぶすっ、と明らか‘拗ねてます’という顔をしたこいつは
唇をつんと尖がらしている。
キスでもされてぇのか、馬鹿か。
「謝ることねぇのかよ、変態教師」
「変態は余計だ」
「今日は体育だって昨日言ったよな?」
「………あ、あぁそんなことも言ってたっけ?」
「なのになんで何回もやるんだよ……!!」
顔を真っ赤にしてきっとこちらをにらんできた。
あぁ、そういうこと。
「てめぇだって喜んでたじゃねぇかよ」
「は、はっ……!?ば、馬鹿か!!」
動揺がすごくうかがえる。
こんなバカなところも可愛い。
こいつは週に1度くらい泊まりに来る。
一人暮らしだから融通が聞くとか。
だったらもう一緒に住んでもいいんじゃねぇかと前に言ったら
『バカか、そしたらてめぇ絶対毎日やるだろ!!』
と、キレられた。
まぁ確かにこいつが泊まった時は必ずと言ってもいいほどの頻度で行っているけど。
「あー、もういいし。とにかく今日は体育無理だからここでさぼる」
「勝手にしろ」
そういうと完全に黙ってしまった。
……ちょっと相手にしてやるべきか。
少しは俺が悪いのかもしれない。
「おい、」
「……んだよ、仕事でもしてろ」
「学生の仕事は勉強だぞ」
「それを妨害する教師ってどうなんだよ」
「じゃあ見学でもしてろ」
「理由いえねぇだろうが」
「それもそうか、」
「ちっ」
仕方ないからずっとこちらを向かないやつの背中と背もたれの中にずっかり座り込む
「うお!?」
「馬鹿か、かまってほしいとでも言ったらどうだ」
「はぁ?」
脇の下を持ち体を浮かせ
自分の膝元に乗せる
「……なんか、恥かしいんデスケド」
「誰もいないだろうが」
「まぁいいや。たまには労わえ」
そういいながらも体をこちらに寄せているのは黙っておいてやろう
「あー、腰いてー。」
強がりでぶつぶつ文句垂れてるが
心なしか耳も赤いし。
なかなかこういうのも悪くないかもな。
体育の前の日に泊まらせてやろうか。
……一応教師だけど。
生徒でも恋人には変わりないだろ?
END.
最後までお読みいただきありがとうございましたっ
なんとなく教師設定を生かすには
教壇に立っている、ということにしたいのでw
ゾロはまぁ普通の教科で・・・。
はい(笑)
自己満足小説ですが。
お粗末さまでした!
20111005 景夜.